BE WITH YOU





<3>




カーテンを開け放ったままの、テラスに続く大きなガラス窓から、月明かりが差し込み、優を照らす。
いいムードになり、ベッドルームへと優を誘ったものの、おれがワインとグラスを階下に取りに行って戻ってくると、優はすうすうと寝息をたて、気持ちよさそうに眠っていた。
それが目的で、この旅行を計画したわけではないが、幾分残念ではある。








優が退院した日、初めて優を抱いた。
オンナ相手なら経験はあるが、オトコ相手は初めてだ。
優への想いを確信してから、何度となく優を抱く夢を見たが、実際本人を目の前にして、おれと同じ身体のオトコに対しての行為に、いささかの不安があった。
しかし、そんな不安はものの見事にふっとんだ。
リビングのソファでの深いくちづけ。
おれに絡みつく優の熱と、くちびるを離したときの優の吐息ひとつで、おれの息はあがり理性は吹っ飛んだ。
がっついて、シャツの下に手を滑り込ませた時、優が抵抗し、ここがリビングであったことに気づくほど、おれは優に欲情していた。
やめるのはつらいが仕方ないかと優に謝ると、今度は優のほうから誘いをかけてくる。
優の身体はおれを夢中にさせた。
おそらく優にとっては、すべてが初めての経験であろうに、おれのどんな些細な動きひとつにも、敏感に反応する身体。
快楽になれない身体と、それに溺れそうな心の葛藤が、優を無意識のうちに乱れさせる。
そして、そんな自分にわけがわからなくなるのか、流す涙と漏れる喘ぎ声。
それらのすべてが、おれを煽り立てる。ますます感じさせたくなる。



オンナとのセックスは、おれの欲求を満たすためのものだった。
おれに奉仕しろ、おれをキモチよくしろ、そんなセックスしか知らなかった。
なのに、優とのセックスは・・・全く違う。
優の反応が知りたい。
優の声が聞きたい。
そしてなにより・・・優をキモチよくしたい・・・・・・
だから、時間をかけて受け入れ態勢を整えた優の中に入ろうとした時、苦痛に顔をしかめ悲鳴をあげた優に、一旦挿入を中断した。
おれの性欲なんてどうでもよかった。後で一人でヌケばいい、それくらいどうでもよかった。
しかし、優はやめるのを拒んだ。





―――お願い・・・―――





その言葉に、おれはブレーキが効かなくなり・・・・・・突っ走ってしまった・・・・・・









シャワーを浴びた時、背中についた優の爪あとに気がつき、おれは後悔した。
優のその痛みは、避けられないことだ。
しかし、おれは、我慢がきかずかなり暴走した。
もっと、優しくできたんじゃなかったのかと、反省ばかりが頭をめぐり、現に、その日一日優は立つこともままならないでいた。
友樹にも釘を刺された。
ヤリまくるなと!
言われなくてもわかってると言い返したが、おれはほんとにわかっているのだろうか?
細い華奢な優には、かなり体力を消耗するであろう行為。
おれは、反省と戒めのため、しばらく優を抱かないことにした。
優の身体を知ってしまったおれには、かなりツライ日々が続いた。
キスだけでも、身体の芯が熱くなり、抱きしめる腕に自然と力がこもる。
眠れないと、おれのベッドに無邪気に入り込む優の髪をなでながら、高ぶり続けるおれの心とおれ自身を隠し通す夜。
すると、突然、とある日を最後に、優がおれのベッドに来なくなった。
学校から、バイトから帰ってきても、勉強が忙しいからと、すぐに自室に引きこもってしまう。
なぜだろうと、不安になる。



おれ、避けられるようなこと、したのか?
したといえば・・・セックスしかなかった。



やっぱり、嫌だったのだろうか?
おれ、優が感じるのがかわいくて、かなり無茶したし・・・・・

一緒に寝ているだけで欲情していたおれに気づいたとか?
不潔とか思われてるんじゃ・・・・・・






そして、おれは、最近見せなくなった優の笑顔が見たくて、優のごきげんを取るなんていう下心付きで、優をここハウステンボスに誘ったのだ。




back next novels top top